STORIES Vol.4 最強の綿生地を使ったコートづくり
ー今回の開発ストーリーでは、追加生産をした「ステンカラーコート」について色々聞いてみたいと思います。
これまでタロウはあまり重衣料を作ってこなかった印象がありますが、追加生産をするということは余程コートに対する思い入れが強いように思います。そもそもコートを作ろうと思ったきっかけはなんだったんですか?
タロウA:たしかに思い入れは強いかもしれません。きっかけというかタロウを立ち上げようと決めたときから、コートはずっと気になってましたね。コートって、ほしいけどお値段もするし、安いのは安いのでそれなりの理由があるので、自分自身納得できるコートほしいなって思ってました。
ただ、使いたいと思える、生産意欲を掻き立てるような生地がなかなか見つからず、探すのに結構な時間がかかってしまいましたね。
―なるほど、そうだったんですね。たしかにハリ感と艶もあって、高級感のあるしっかりした生地だなと思いました。具体的にどういった生地なのか教えてもらえますか?
タロウA:簡単にいうと、最強の綿の生地です(笑)
作るのに高い技術を必要とする歴史ある生地で、織れる工場は日本に一箇所しかないんですよ。それも職人さんが何回も失敗を繰り返して、ようやく作ることができた生地です。
具体的に言うと、かなり高密度に織られていて、綿100なのに撥水するし、高い技術を用いているので、色も長いこと着用しても薄くなりにくい生地です。
高密度すぎてコートが立つんですよ(笑)
元々はイギリス空軍で開発された織物を復刻しているもので、撥水の他にも「耐火・透湿性・通気性」にも優れています。ギャバジン(バーバリー織り)とも言われていますね。英国、フランス、イタリアのハイブランドからも評価され続ける生地です。当時はその機能性から重宝されていたんですが、時代と共に、安くて丈夫なものが流通し、需要が一度なくなりました。でも、日本の職人さんの力で見事に再現できた、大変珍しい生地です。綿コートの最高級品だと思ってます。
―世界的に評価されている生地を日本で作っているって凄いですね。たしかに、これだけのスペックがあれば、長く着られるイメージ湧きます。
タロウはあまり、高価格帯のものを出してこなかったですが、このコートは結構思い切りましたよね?迷いとかありませんでしたか?
タロウA:それは高いってことですか?(笑)このクオリティでこの価格はむしろ破格なんです!ただ、名もないブランドなので受け入れてもらえるかも含め不安でしたね。
ただ、いまは作ってよかったと思っています。全国のポップアップでもお褒めの言葉をいただくことも多いですし、手にとっていただいた方からも嬉しい言葉をいただけるので。
―自分たちが良いと思って作ったもので、手にした人が喜んでくれたり、共感をしてくれたりするのは嬉しいですよね。ボタンの仕様やデザインも力をいれている印象ですが、どんなことを意識しましたか?
タロウA:仕様面でいうと、背面をボタンで調整できるセンターベント(後ろ裾の中心に1本の切れ込みが入ったデザイン)にしています。長いシーズン着てもらえるように、温度の調整などできるようにそのデザインにしました。
パターンにも工夫があり、なるべく接ぎ線を無くすために、脇線をなくしていたりしてます。
―そういう背景があったのですね。最後にタロウAさん自身がこのコートを手にしてよかったと思ったことを教えてください。
タロウA:天候を選ばず着られるっていうのがよかった点ですね。
晴れた日は、光沢感、ハリ感がよくわかるので、大人の品というか、そういうのを身にまとっている満足感を得られます。そして、雨の日はとにかく濡れないですね。
傘を指しても肩だったり、気がつくと服の一部が濡れることありましたが、今は本当になくなりました。
高密度なので、風も通しにくいので、色々な気候に合わせて着用できてます!
なので、やっぱり機能性に対してよかったなと感じる瞬間は多いかもしれませんね。