『ポケットの刺繍が生まれる場所』福祉事業所「ミコミコ」

equaltoとのコラボアイテム「WIDE CREW NECK P/O equalto edition」のポケットの刺繍を行っていただいた、横浜にある福祉事業所「ミコミコ」様の事業所へお邪魔させていただきました。

ミコミコ様は、生活介護事業所（障がいサービス事業所）と呼ばれる施設で、主に知的障がいや身体障がいを持つ方々に福祉サービスを提供しています。第一事業所と第二事業所の2カ所で、喫茶、製菓、手芸、ポスティングなど、さまざまな作業に取り組んでいます。施設には、障がいを持つ方々がさまざまな年齢層で集まり、利用者一人ひとりのペースに合わせた支援が行われています。作業内容も、その日の体調や気分に応じて調整され、誰もが安心して作業できる環境が整っています。

カフェが併設されたミコミコ第一事業所

第一事業所に足を踏み入れると、まず目を引くのは、ビーズアートや塗り絵、織物などを制作している利用者様の姿です。ここでは、さまざまな作業を通じて、利用者が自分のペースでスキルを身につけ、創造力を発揮しています。ビーズアートは、モデルに忠実に作られながらも、どこかオリジナリティを感じさせる独自の魅力を持っています。塗り絵では、繊細な色使いで細部まで丁寧に仕上げられた作品が次々に生まれています。どれも手作業ならではの温かみが感じられ、見る人の心を打つ仕上がりです。

カフェで販売されている駅弁のビーズアート。フタの裏につく米粒まで再現されています。

カフェでは利用者様が作った商品を販売するだけでなく、コーヒーの焙煎もその場で行っています。実際に焙煎したコーヒーはカフェで提供され、利用者様が自分たちで作った商品を店頭に並べ、来訪者に提供することで、空間や物を通じて、利用者様と来訪者が自然にコミュニケーションを取ることができる場所となっています。

カフェミコミコで焙煎をされている利用者様。美味しいコーヒーを淹れるため、一粒一粒豆の状態を確認しています。

実際に試飲させていただきましたが、芳ばしい香りが広がり、口に含んだ後も心地よい余韻が残る美味しさでした。

第二事業所「カーサ・ミコミコ」

第一事業所から徒歩5分ほどのところにある「カーサ・ミコミコ」を訪れると、こちらもまた活気にあふれていました。2017年5月に開設されたこの事業所では、ビーズアートや縫製、刺繍など、手工芸に取り組む利用者の姿が見られます。

縫製・刺繍をサポートする専用スタッフも在中しており、利用者様は迷うことなく作業を進めることができます。

作業の進め方は人それぞれ。ある利用者様は、iPadで参考イメージを探し、イメージと見比べながら、時間をかけて作業していました。数時間でできるものもあれば、数日かかるものもあります。

2025年1月に引退が発表されたドクターイエローを惜しみ、利用者様が作ったビーズアート。細部まで精緻に再現されており、一目でドクターイエローとわかるクオリティです。

こちらの利用者様は、コロナ禍で楽しみであるダンスができなくなってしまった中、ミコミコの活動があったおかげでものづくりに没頭し、塞ぎ込まずに過ごすことができたと話してくれました。その時の作品は、細かい刺繍と洗練された色使いが特徴的で、インテリアにほしくなる仕上がりでした。

コラボで使用しているポケットの刺繍も、さまざまな利用者様が思い思いのアイデアを形にし作られています。配色もデザインもすべて、彼らの中にある発想から生まれたものです。ものすごい速さで頭の中のアイデアを刺繍で再現していく方、迷いながらもゆっくり丁寧に作業を進める方、人の手からしか生み出せない、温もりや個性がここにはありました。

事業所スタッフと利用者様のコミュニケーションは非常に活発で、お互いに対する信頼関係がしっかりと築かれていることが感じられました。スタッフは利用者様のペースに合わせて支援を行い、利用者様もスタッフに自分の思いや意見をしっかりと伝える姿が印象的でした。こうした信頼関係が、日々の作業をより意義深いものにしているのではないかと感じました。

最後に事業所スタッフの私物を見せていただきました。カバンや衣類などほとんどのものがミコミコ仕様にカスタマイズされていました。

ミコミコ様、貴重な時間を過ごさせていただき、ありがとうございました。これからもミコミコ様と共に、さらに素晴らしいものを作り上げていけることを楽しみにしています。

福祉事業所「ミコミコ」：https://mikomiko200541.wixsite.com/home